佐藤 拓雄
2025/04/28
「長期休暇」と言われてまず思いついたのは、2009年、次男が生まれた時に育児休暇を取ったことです。
ただ、何度かここにも書いている私見ですが、「育休」は全く「休暇」ではないです。あくまで私の場合ですが、炊事、洗濯、食料品の買い物、上の子たちの送迎に文字通り明け暮れ、ゆっくり何かをする時間は全くない毎日でした。仕事より大変、と思ったほどで、これを「休暇」と言われたらちょっと違う気がするのです。
法律上は「育児休業」なので、語感的にはそっちの方がまだ合っているかもしれないと思います。
その頃と比べると、男性の育休についての社会全体の考えもだいぶ変わったのかな、と思います。制度としても少しずつ改善されてきているようです。
それはいいのですが、この「男性の育休」文脈で必ずと言っていいほど出てくる単語が、「イクメン」。この言葉が私は当初から好きではありません。
ちょっとうまく言葉にならないのですが、父親だからやってるだけのことを、「カッコイイ」みたいにカテゴライズすることへの反発でしょうか。
国の「イクメンプロジェクト」の中にこんな文章がありました。
「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。または、将来そんな人生を送ろうと考えている男性のこと。イクメンがもっと多くなれば、妻である女性の生き方が、子どもたちの可能性が、家族のあり方が大きく変わっていくはず。そして社会全体も、もっと豊かに成長していくはずです。イクメンプロジェクトは、そんなビジョンを掲げて発足しました。」
うーん、違和感ばかりです。
少なくとも、私の育休は、そんな「ビジョンを掲げて」取ったものではなく、単純に、家の中が大変だから。それだけです。
新生児がいて、上に小学生が2人いて、妻は出産直後で、というなかで、どうにかして家族の生活を何とか回していくしかない。目の前のことをやるしかない。
そしてそれは、育休期間だけの話ではなく、子育てが終わるまでずっと続いていくことです。
しかも、楽しいことばかりではありませんし、自分を成長させるために子育てをしているわけでもありません。
私の周りでは、もっと若い後輩世代が次々と親になっていますが、私の知る限り、皆、日々の生活を何とか整えようと、公私のバランスを取りながら、毎日一生懸命やっているように見える人ばかりです。そのなかで「イクメンとして社会を変えよう」などと思っている人は一人もいないように見えます。(いたらすみません。)
男性も育休を取りやすい社会を、というのは全く異論ありませんし、制度はどんどん整えてほしいです。
しかし、家庭、子育て、という本来個人の領域であることを、それが社会を変えていく、社会のためになる、的なトーンはいかがなものか。
というか、なんかいやだな、と思うのです。
「長期休暇があったら」というお題からどんどん離れました。
長期休暇があったらいいに決まっていますが、現実にはないですし、あっても長期旅行に行くほど経済的な余裕はないので、こんなひねくれた話になってしまいました。
あしからず。
【写真】永年勤続休暇の時に行った青森県の三内丸山遺跡。永年勤続休暇といっても休みは私だけなので、家族で旅行というわけにもいかず、JRのフリーパスを使い、数日間、一人で日帰り旅行をしていました。三内丸山遺跡の感動は機会があれば書きます。
続いては、新人の門間陸斗アナウンサーです。