金澤 聡
2026/08/28
暑い夏に、行きたくなるところがあります。
仙台の夏も年々容赦なく暑く、アスファルトからの照り返しを浴びると、「今日は外出をやめようか」と真剣に考える日があります。そんな私にとって夏の避暑地は、本屋さんです。
もちろん冷房が効いて涼しいからです。でも、それだけではありません。
わずかな紙の匂いと、静かな空気が流れている店内で
棚から棚へ、涼みながら本を探しているうちに、いつの間にか汗も引き、時間まで忘れてしまいます。
もちろん、気になった本はきちんと買います。……全部ではありませんが(笑)。
そんな「涼み処」が、また一つなくなってしまいました。
仙台・一番町の「あゆみBOOKS仙台一番町店」が先月12日で閉店。アーケードに面した唯一の路面書店で、街の本屋さんとして営業を続けてきましたが、姿を消すことになりました。
かく言う私も、最近はネットで本を買うことも増えました。欲しい本が翌日には届く便利さは、本当にありがたい時代です。
それでも、本屋さんには本屋さんにしかない楽しみがあります。
思いがけない一冊との出会い。表紙に引き寄せられて手に取る一冊。
「これ、面白そうだな」と予定になかった本を買ってしまう、などなど。あの時間は、ネットではなかなか味わえません。
暑い日にふらりと立ち寄り、本を眺めながら涼み、気づけば一冊抱えて店を出る。
そんな何気ない夏の過ごし方が、少しずつできなくなっているのは、やはり寂しいものです。
本屋さんで涼みながら、まだ知らない一冊に出会う。
そんな夏の楽しみが、これからも街に残っていてほしいと願っています。
もう一つ暑くなると行きたくなるのは新潟の実家です。実家は「へぎそば」が名物で、暑さで食欲が落ちる日でも、つるりとしたのど越しと、しっかりとしたコシのある麺で、箸が止まりません。
へぎそばは、海藻の「布海苔(ふのり)」をつなぎに使うことで、独特の弾力とのど越しが生まれます。また、「へぎ」と呼ばれる木の器に、一口ずつ美しく盛り付けられているのも特徴です。地域の風土や文化が育んだ、故郷を代表する味でもあります。
もちろん、仙台でもおいしいおそばは食べられます。でも、実家で家族と囲むへぎそばには、味だけではない特別なものがあるので、暑い夏でも行きたくなります。